一隅を照らす。
著者: 中小企業診断士 窪田 賢一
皆さんは、「一隅を照らす、これ則ち国宝なり」という言葉をご存じだろうか。
これは、天台宗・比叡山の改組である最澄の言葉である。
「それぞれの立場で精一杯努力する人はみんな何者にも代えがたい大事な国の宝だ」という意味。
また、「一燈照隅 万燈照国」という表現もある。これは「一隅を照らす光が集まれば、その光は
国全体をも照らすことになる」ということだそうだ。
つまり、「自分が今いる場所や立場でベストを尽くすことが、結果的に全体を良くすることに繋がる」
ということである。
トヨタ自動車、日本生命保険、武田薬品工業、ニチレイ、西武鉄道・西部グループ・セゾングループ、高島屋、伊藤忠商店・丸紅
住友財閥、双日、日清紡、東洋紡、ヤンマー、東レ、ワコール・・・。
これらの起源とされる近江商人は大坂商人、伊勢商人とならぶ日本三大商人の一つである。
背景には、最澄が唱えた「忘己利他」や「一隅を照らす」という言葉が近江商人の精神文化育んできたと言われる。
例え一部の地域であっても、その場所の人々に必要なモノ・コトの為に全力を尽くす。
それにより、地域にとっての”raison d’ētre(レーゾンデートル:存在価値)が生まれ
地域に活性化にも貢献することが出来る。
自社、自分ならではの地域活性化の展開が多く集まることで、
ひいては全国の活性化に・・・。まさに、最澄が残した言葉そのものになっていく。
ビジネスだけでなく、サラリーマンとしていろんな仕事を展開していると、ついつい色んな事に手を出してしまいたくなる。
しかし、大切なのは利益を求めたビジネスや仕事より、本当に必要とされているビジネス、必要なモノ・コトを見極め、
そのためにスキルやノウハウを集約して展開していくこと。
それによって、長く選ばれ続ける企業、そして人材へと成長することができる。
「まずは自分のビジネスや今の仕事を見極め『一隅を照らす』ことから」が私の信念である。
「忘己利他」や「一隅を照らす」という言葉が、近江商人の精神文化を育んできたように、グローバル化を始めとする
領域の拡大を目指しながらも、この地で商う、モノを作ることの意義を深く考えながら、善良な企業市民、金融マン
サラリーマン、フリーランス、アルバイト、自身の立ち位置での近江商人の精神を目指すことで、
このミライズIMIZU、新湊信用金庫から新しい時代の新近江商人がより多く輩出することを願っています。