第3回ミライズESSAY                  創業者の創出・育成により地域に賑わいを

創業者創出・育成により地域に賑わいを           ~そのために新湊信用金庫ができる事~

著:ミライズIMIZU協議会 インキュベーション担当代表 新湊信用金庫 次長 高木 秀典

 

進んでいく過疎化

日本全国にて人口・世帯数の減少、事業者数の減少対策が検討される中で、当金庫の主力営業エリアである射水市内も例外ではありません。また、射水市内の経営者が高齢化の一途を辿っている中「後継者がいない」「事業を継承する人材がいない」などの理由から廃業を余儀なくされる現状に歯止めをかけることが出来ず、年々事業者数は減少し、結果として地域の賑わいも薄れてきていると感じていました。そこで、地域支援を目的に多種多角化事業を展開している株式会社プロデュースさんと地域に賑わいを与えるための活力について話し合いを重ねた結果、『起業・創業者』というキーワードにたどり着きました。

創業者の創出・育成に向けた体制作り

創業後の廃業率は3年後で約60%、5年後で約75%、10年後で約90%と言われています。また、富山県は廃業率が全国で最も高い県(廃業率4.3%「中小企業白書2019より」)であるというデータもある中、創業者を如何に創出し、そして育成するべきか、単なる貸しオフィスではデータが示す状況になり兼ねない、それでは地域に賑わいは到底戻らないといった意見・考えのもと、単なる貸しオフィスではない創業者を全面的に支援する施設「インキュベーション施設」の運営を、株式会社プロデュースさんと共同事業で開始することとしました。

当金庫が、このインキュベーション施設に入居された創業者に対しできる事、当金庫が創業者に対し実践したことが当金庫の成長、発展につながる体制の構築を検討し

 

①当金庫若手職員希望者より選抜したインキュベーション担当者3名による伴走支援

②支援人材2名(中小企業診断士や産学官コーディネーター)による巡回指導

③中小企業診断士による無料個別相談会の定期開催

④入居者向けセミナーの定期開催

⑤ビジネスマッチング情報や補助金・助成金情報、ビジネスプランコンテスト情報等の情報発信

など、体制を構築しました。

また、入居者の方には「事業に対する思い」や「事業の目標や計画を明確化することの大切さ」「経営者としての資質」などについて様々な視点での意見も踏まえながら一人の経営者として事業を成功に導くための心構えも身につけて頂くことにしています。

創業者をめぐる経営課題は多様化・複雑化している状況下でありますが、当金庫では、この体制・取り組みを万全なものとし、そして継続的に行っていく事で、データが示す廃業率を打破したいと考えています。

 

創業者の育成、新産業創出による地域活性化

地域に賑わいを・・・ この言葉からスタートした本事業の集大成は、射水市内(特に新湊地域)の人口・世帯数・事業者数の増加です。人口・世帯数・事業者数が増加する事で、射水市内に人の流れができ、人の流れができる事で経済波及効果の創出、ひいては地域に賑わいが生まれる。この好循環を早期に実現するためにも、本インキュベーション施設内での創業者の育成、創業者育成による新ビジネスの開発を加速させ、地域にとって必要不可欠な金融と地域支援を一体化した新たなビジネスモデルを地域に提供していきたいと思っています。

そして、本事業・取り組みを通じて、当地での当金庫の地位を「単なる地域金融機関」としての存在から「地域プロデューサー」としての地位確立を目指したいと考えています。